札響やオーケストラに関するよくある質問やこれは意外と知られてないかも,と思うものをまとめてみました。
ちなみに、下の答えはあくまで私個人の答えで札幌交響楽団の公式のものではありません。
札響の人って普段なにやってるの?
ようするに札響団員の地位に関するご質問だと思います。札響は財団法人でそこに勤めてる私たちの地位は財団職員です。札響からの毎月の給料と年2回の賞与、各種手当てなどで生活しています。フツウの会社と一緒です。労働組合なんかもちゃんとあります。
給料はどうやって決まってるの?
日本中ほとんどのオーケストラでそうですが、原則的に年齢給です。よく、弾く場所の順番は関係してるのか聞かれますが、関係ありません。そもそもプロの集団で誰がウマイ、誰がヘタと決めることはと〜〜っても難しいのです。 欧米のオーケストラにはこの矛盾を解消するために、席次ごとのオーディションを行っているところもあるくらいです。
首席や副首席には別途手当てがつきます。
年間どのくらいの演奏会があるの?
約120回あります。一般の会社と同じように事業計画に基づいて年間の公演回数が決められています。’03年の経営再建後はオーケストラ演奏の他に、小編成でのアンサンブル業務やワークショップ形式の音楽教室などが年に70〜80本加わりました。
札響の練習はいつどこでしているの?
一回の演奏会のための練習は1〜3日間、主に札幌芸術の森にあるアートホールに全員集まって行われます。同じ演目で数回公演を行う場合は、そのたびに練習は行いませんが、ステージリハーサルという通し稽古は毎回本番会場で行います。
演奏旅行の移動はどうやってするの?
バスなどで一斉に、と思われがちですが、支給された演奏旅費で各自移動します。JRなどの公共の交通機関でいくもよし、自家用車でいくもよし。
宿泊代は演奏旅費に含まれていますので、各自宿泊します。温泉に泊まるもよし、ホテルをとるもよし。
札響の人って家で練習してるの?
もちろんしてます。そのための防音対策が大変です。休日といっても個人の練習は怠れませんから、完全な休みとはいえないかもしれません。
団員はどのくらいいるの?
楽員が約80人、事務局員が約20人、ステージスタッフが5名ほどいます。
休みはいつ、どのくらい?
だいたい1週間に1〜2日位です。演奏会にあわせての休みですから、毎週何曜日、とはいかないです。そのほかに有給休暇や慶弔休暇、正月休み、夏休みもあります。
楽器は自前?
特種楽器や大型楽器の一部を除いて、自前です。当然自分の稼ぎで買う訳ですから大変です。ちなみに弦楽器が一番高価で数百万円以上はします。
衣装は自前?
オーケストラによって違うのですが、札響の場合は燕尾服は自前、タキシードは支給されています。でも、燕尾服ってとても高いんです。演奏家用の燕尾服を専門に作っている店なんかも東京にはあるのですが、れでも10万円くらいはします。一般の紳士服屋だと、だいたい20万円くらいはします。
みんな指揮者を本当に見ているの?
見ています。目線は確かに楽譜に行っていることが圧倒的に多いのですが、指揮者は常に視界に入っていて意識しています。譜面を見て、他のパートの音を聴いて、コンサートマスターや首席奏者を見て、指揮者を見ながら弾いています。けっこう忙しいんです。
間違ったら指揮者に怒られるの?
指揮者とオーケストラの力関係ってけっこう微妙です。どのくらいエライ指揮者かとか、どのくらいウマイオーケストラかによって変わってきます。どちらにせよ、指揮者が威張りちらしていることはないですし、まして間違って怒られることはありません。ただ、間違わないように一生懸命です。でも、間違うことよりも合わない事の方がイヤかもしれません。
曲目はどうやって決めるの?
事務局に事務局長を中心に企画をする人達がいます。その人達が指揮者や楽員やお客さんの意見を参考にしながら決めています。定期演奏会などの自主公演は音楽監督や正指揮者の意見がウェイトを占めますが、依頼公演は主催者(あるいはスポンサー)の意見がウェイトを占めます。
演奏してて楽しいですか?
難しい質問です。
好きで始めた商売ですが、仕事ですから能天気に楽しんでは出来ません。楽しさよりも厳しさを感じる事の方が多いです。
札響にはどうやって入るの?
欠員が出たときや、増員するときに行われるオーディションを受けます。オーディションは公募で音楽雑誌や機関紙、音大などで公示されます。札響に限らずほとんどのオーケストラのシステムなのですが、団員全員の前でコンチェルトと指定されたオーケストラの曲を弾きます。そして全員の投票を仰ぎます。よくコネが効くか聞かれますが、そのようなシステムなのでコネは一切効きません。ただしコンサートマスターなど一部首席奏者は野球選手の様に年俸制で年度ごとに契約更新している特別契約の人もいます。
入団資格は?
「原則35才以下」という以外、特にありません。
音大を卒業していなくては、と思われがちですがそんなことはありません。要するにオーディションに合格すればいいんです。 音大卒業云々に関しては、たぶん日本中のオーケストラ共通です。(あるいは世界共通)。
楽器はどうやって運んでるの?
基本的に自分で運びます。大型楽器などは札響の裏方と札幌通運の貴重品運びのスペシャリストが運んでくれます。チェロも頼めば運んでくれます。がっちりしたハードケースに入れられてとても安心です。
チケットはどこで売ってるの?
札響事務局はもちろん、市内各プレイガイド、チケットセゾンで買えます。チケットセゾンは西武デパートや西友に入ってます。キタラのチケットセンターでも買えます。詳しくは札響事務局(011−520−1771)か、キタラチケットサービス(011−520−1234)にお問い合わせください。
演奏会の予定はどうやったら分かるの?
上記のプレイガイドなどにチラシが置いてあります。道新などでも宣伝してますし、毎月の「今月の札響演奏会」という記事で 知ることもできます。また市や道の広報誌にも載ります。自主公演以外の全演奏会も札響のオフィシャルサイトに掲載されています。
演奏会はやっぱり札幌市内が多いの?
だいたい、札幌市内が4割5分、道内各地も4割5分、本州など道外が1割、海外が数年に1度といったところです。東京公演は毎年10月に行います。
演奏回数の一番多い曲は?
やはり「第九」でしょうか。札響は12月だけで4回位。1年で7回位です。でも全国平均ではかなり少ない方だと思います。某在京オケなど12月だけで30回以上やった話を聞きます。同じくらい多いのが「新世界」です。これも1年に10回以上は確実にやってます。
衣装にまつわる失敗談。
演奏会によって燕尾服、タキシードなど使い分けているのでたまに間違えて持ってくる人や忘れてくる人がいます。タキシードの日に間違えて燕尾を持ってきて、しょうがないので後ろのテールの部分を内側に折り曲げてホチキスで止めた。とか、黒い靴を忘れてスニーカーの上から黒い靴下をはいた。とか、黒蝶ネクタイを忘れてきて靴下を首に巻いた。など枚挙に暇がありません。でも客席からは意外と分からないんですよね。
やっぱり緊張するの?
慣れもありますが、オケでもやはり緊張はします。演奏会によっては弓が震えてPPなどが上手く出せないものもあります。そういうのを「ビビラート」と呼びます。ソロなどは特に緊張します。
プログラム上登場しない楽器の人はどうしてるの?
よくありますよね。曲によってトロンボーンがなかったり、モーツァルトの交響曲にクラリネットがなかったり・・。そういう時はその人たちはお休みになります。弦楽器奏者はそいういうことはまずありませんからいつも「いいな〜」って思います。
オーケストラの中で仲がいい悪いってあるの?
それが全くない社会ってたぶん存在しないですよね・・。札響はうまくやってる方だと思います。派閥のようなものが存在するオーケストラもあるやに聞きますから・・・。
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